定年退職後の仕事を考える方も多いと思います。もともと農家だけどサラリーマンをしていて退職後は農業を・・という方もいることでしょう。では、農家ではないけど、新規就農を考えるシニアの方って、どんな方でしょうか。
今回は、群馬県前橋市で、異業種参入で農地所有適格法人「門倉ファームズ」を設立された、門倉社長にお話しを伺いました。
<門倉社長のプロフィール>
2004年 建設・電気工事会社勤務を経て、門倉テクノ株式会社を設立
2019年 前橋市「敷島公園バラ園」のネーミングライツスポンサーとなる。
2021年 門倉テクノ株式会社の子会社として、 門倉ファームズ株式会社を設立
(敷島公園門倉テクノバラ園)
<農業に興味を持ったきっかけは?>
10年以上前から会社経営の傍ら、自宅の庭に家庭菜園を作り、採れたて野菜のおいしさにすっかりはまってしまった。家族や周囲にも好評で、ドレッシングなど何もつけなくても野菜本来の旨さでおいしい、ピーマン嫌いの子でも食べれらる・・と、とても喜んで食べてもらえた。
もともと研究好きだから、農業大学校の夏野菜コースで基礎を教わって、土づくり肥料づくりまで、こだわって配合を変えたり、作物の種類も増やしていろいろと試したりするのも面白い。
それに、農作業をしていると気分転換になるのか、ふだんの仕事で悩んでいたことに、ふっと解決方法がひらめいたりする。まさに、農業はやって楽しい、食べておいしい。
<なぜ電気設備会社から「農業」に参入されたのでしょうか>
素人農家だから作目を広げていくと、わからないこともあって、周囲のプロ農家にも教えてもらっているうちに、「うちの農地も使ってやってみるかい」と声かけしてもらった。家庭菜園を飛び出すとなると、農地を借りる手続きをしなくてはならないから、農業のための会社を作ることにした。
法人にしておけば、将来自分ができなくなっても、農業をやってくれる次の世代へ手渡すこともできるからね。
【ポイント解説】農地の売買・貸借に関する制度について
農地を売買又は貸借する場合には、法律に基づく手続きが必要です。具体的には、
1.農業委員会の許可を受ける方法(農地法)
2.農地中間管理機構が作成する「農用地利用集積等促進計画」による方法(農地中間管理事業の推進に関する法律)があります。
<農林水産省ウェブサイト>農地の権利を取得するための手続き
<これからの目標は>
ひとつは、農業法人として、多様な働き方を目指している。農業は対人的な業務ではないため、天候と必要な作業を見極めて、自らの裁量で作業時間を決めることも可能。例えば門倉テクノの就業時間は8:00~17:00 (フレックス可)だが、介護や育児に関わる社員にとって、さらに働く曜日、時間の幅を広げる選択が門倉ファームズではやりやすいから。
もう一つは、冬野菜や秋~冬の作業に関わる農作物にも挑戦したい。今年は農業大学校で冬野菜コースの勉強もしていく。それに、秋から植付のキーウイフルーツも入手したので、先輩のキーウイフルーツ農家に弟子入りすることも決まった。今から楽しみで仕方ない。
(門倉ファームズにて)
〇最後に
今、夏野菜の収穫で大忙しですが、さらに冬野菜やキーウイフルーツにも広げていくという門倉社長は、販売にも様々なアイデアをお持ちで、新たな経営分野への参入を心から楽しんでいるようです。
農業に意欲を持つシニアの、人生100年時代の働き方を聞かせていただいて、大いに元気を頂けるお話でした。
=プロフィール=
プラン行政書士事務所 代表行政書士 中西浩子
日本で暮らしたい、農業をはじめたい
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